お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「じゃあ、次はこっちから質問ね。どうして、私を探していたの?」

「それは……」

 思わず口篭る私は、どう返答しようか迷う。
いっそ黙秘権を行使しようかとも思ったが、そんなことをすればフィリアの信用は勝ち取れない。
もしかしたら、『案内の話はやっぱりなしで』と言われる可能性だってあった。

 話してみた限り、素のフィリアは押しの強い子だ。
そのまま流されて、案内を……とは、ならない筈。
キッパリ断らなきゃいけない場面で、尻込みするタイプには見えない。
だから、フィリアの納得する理由を言う必要があるんだけど……嘘や誤魔化しは通用しないだろう。
妖精だもん。
となると、選択肢は一つしかない訳で……。

「分かりました。全て正直にお話します。でも、絶対に他言無用ですからね」

「ええ、もちろん」

 二つ返事で了承するフィリアは、ゆるりと口角を上げた。
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