お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「もう既にお気づきの方も居るかもしれませんが、私の論文のテーマはずばりギフトの数です。私自身、複数持ちで何故このような恩恵を受けられたのか長年疑問に思っていまして」
クルリとこちらに向き直り、レーヴェンは演説台の上にそっと手を置いた。
「これから発表するのは、私の辿り着いた一つの結論です。正解ではありませんので、ご容赦を」
『まだそこまでの確信はありません』と語り、レーヴェンは背筋を伸ばす。
と同時に、表情を引き締めた。
「まず、前提条件としてギフトの分布や選定は神が行っているものとします。そうでなければ、説明のつかない事項も多いので。例えば、ギフトの複数持ちの共通点とか」
ピンッと人差し指を立て、レーヴェンは柔和に微笑む。
「あくまでこれは私の把握している範囲の話ですが、ギフト複数持ちに大きな共通点はありません。身分、性別、魔力量、運動量、出身地……実にバラバラです。ただ────ギフトの複数持ちの多くは、困難に立ち向かう運命にあると感じます」
確信の滲んだ声色でそう言い、レーヴェンは手を下ろした。
そして演説台に少しばかり体重を載せ、こちらに身を乗り出す。
クルリとこちらに向き直り、レーヴェンは演説台の上にそっと手を置いた。
「これから発表するのは、私の辿り着いた一つの結論です。正解ではありませんので、ご容赦を」
『まだそこまでの確信はありません』と語り、レーヴェンは背筋を伸ばす。
と同時に、表情を引き締めた。
「まず、前提条件としてギフトの分布や選定は神が行っているものとします。そうでなければ、説明のつかない事項も多いので。例えば、ギフトの複数持ちの共通点とか」
ピンッと人差し指を立て、レーヴェンは柔和に微笑む。
「あくまでこれは私の把握している範囲の話ですが、ギフト複数持ちに大きな共通点はありません。身分、性別、魔力量、運動量、出身地……実にバラバラです。ただ────ギフトの複数持ちの多くは、困難に立ち向かう運命にあると感じます」
確信の滲んだ声色でそう言い、レーヴェンは手を下ろした。
そして演説台に少しばかり体重を載せ、こちらに身を乗り出す。