お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
 多分、妖精達の間ではもうギフトに関する結論……というか、正解を導き出しているのだろう。
妖精は森の奥深くに住んでいるが故に娯楽が少なく、研究をしている者が多いそうだから。
おかげで、魔法文化もかなり進んでいるとのこと。

「『いい線』ということは、正解じゃないんですね」

「ええ、そうね。彼ったら、肝心なところで勘違いを起こしているみたいだから」

「と言いますと?」

「あら、それは秘密よ。ちゃんと人間(自分達)の力で、正解を見つけなさい」

 人差し指を唇に押し当て、フィリアは悪戯っぽく笑う。
『言ってしまったら、面白くないじゃない』と。
その様子はまるで宝探しを楽しむ子供のようだった。

 我々人類としては世紀の大発見(かなりのお宝)なのに、先に見つけた妖精達は何とも思ってないって……温度感凄いな。

「それより、早く行きましょう。日も暮れてきたし、そろそろ帰らなきゃ」

 『パパに怒られちゃうわ』と言い、フィリアは席を立った。
釣られるように私も立ち上がり、一先ず会場を後にする。
そして、フィリアにお願いされるまま正門前へ案内した。
『こんなところで妖精結晶の受け渡しを?』と疑問に思っていると、フィリアに手を引かれる。
訳も分からず瞬きを繰り返す中、正門の隅っこに誘導された。
かと思えば、ほんの一瞬で周囲に結界が。

 あっ、その手があったか。
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