お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
正直、とても有り難い申し出だけど……二人は無理してないかしら?
だって、それぞれリディアには複雑な感情を抱いているのでしょう?
ソレを押し殺して接するのは、かなり辛いと思うけど……。
などと思いつつ、私は月の瞳とタンザナイトの瞳を交互に見つめる。
「公爵と夫人の負担になるのでは?」
「そんなことないわ。最初はギクシャクしちゃうかもしれないけど、リディアと親子になるまでの道のりだと思えば全然平気よ。むしろ、楽しいわ」
「そもそも、リディアと親子になることを『負担』とは呼ばない。それは幸福と呼ぶんだ」
力強い口調でハッキリ否定してくる公爵夫妻に、私は心を打たれた。
泣きたいような……嬉しいような気持ちでいっぱいになり、ギュッと胸元を握り締める。
「そこまで仰っていただけるのなら、是非────私も親子をやり直したいです」
泣き笑いに近い表情を浮かべてそう言い、私はうんと目を細めた。
『これでリディアの願いを叶えられる』という安堵と、『この世界で新たな家族を見つけられた』という幸福を噛み締めて。
だって、それぞれリディアには複雑な感情を抱いているのでしょう?
ソレを押し殺して接するのは、かなり辛いと思うけど……。
などと思いつつ、私は月の瞳とタンザナイトの瞳を交互に見つめる。
「公爵と夫人の負担になるのでは?」
「そんなことないわ。最初はギクシャクしちゃうかもしれないけど、リディアと親子になるまでの道のりだと思えば全然平気よ。むしろ、楽しいわ」
「そもそも、リディアと親子になることを『負担』とは呼ばない。それは幸福と呼ぶんだ」
力強い口調でハッキリ否定してくる公爵夫妻に、私は心を打たれた。
泣きたいような……嬉しいような気持ちでいっぱいになり、ギュッと胸元を握り締める。
「そこまで仰っていただけるのなら、是非────私も親子をやり直したいです」
泣き笑いに近い表情を浮かべてそう言い、私はうんと目を細めた。
『これでリディアの願いを叶えられる』という安堵と、『この世界で新たな家族を見つけられた』という幸福を噛み締めて。