お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
小公爵は気を悪くしていないかしら?
だって、魔力暴走に至った経緯は多分……妾の子であるリディアが、自分や母のことを『お兄様』『お母様』と呼んだからでしょう?
それなのに、これは……。
『さすがに配慮が足りなかったか』と悩み、私は今からでも呼び方を戻そうか思案する。
────と、ここで小公爵がこちらを向いた。
「何でそいつを受け入れる流れになっているんだ……僕達家族を壊した元凶なのに」
『おかしいだろ』と吐き捨てる小公爵に、両親は目を剥く。
と同時に、彼の方を振り返った。
「ニクス、貴方何を……!」
「リディアは何も悪くないたろう!」
厳しい顔つきで小公爵のことを捉え、両親は反論を試みる。
が、
「────ま、待ってください!」
私が制止の声を掛けると、二人はピタッと身動きを止めた。
困惑気味にこちらを見つめる両親の前で、私はそっと眉尻を下げる。
「どうか、小公爵の気持ちを否定しないであげてくれませんか?」
穏やかな声色でそう言うと、両親は衝撃を受けたかのように固まった。
小公爵も信じられない様子でこちらを見つめ、怪訝そうに眉を顰める。
『何故だ?』と言わんばかりに目を白黒させる彼の前で、私はスッと目を細めた。
だって、魔力暴走に至った経緯は多分……妾の子であるリディアが、自分や母のことを『お兄様』『お母様』と呼んだからでしょう?
それなのに、これは……。
『さすがに配慮が足りなかったか』と悩み、私は今からでも呼び方を戻そうか思案する。
────と、ここで小公爵がこちらを向いた。
「何でそいつを受け入れる流れになっているんだ……僕達家族を壊した元凶なのに」
『おかしいだろ』と吐き捨てる小公爵に、両親は目を剥く。
と同時に、彼の方を振り返った。
「ニクス、貴方何を……!」
「リディアは何も悪くないたろう!」
厳しい顔つきで小公爵のことを捉え、両親は反論を試みる。
が、
「────ま、待ってください!」
私が制止の声を掛けると、二人はピタッと身動きを止めた。
困惑気味にこちらを見つめる両親の前で、私はそっと眉尻を下げる。
「どうか、小公爵の気持ちを否定しないであげてくれませんか?」
穏やかな声色でそう言うと、両親は衝撃を受けたかのように固まった。
小公爵も信じられない様子でこちらを見つめ、怪訝そうに眉を顰める。
『何故だ?』と言わんばかりに目を白黒させる彼の前で、私はスッと目を細めた。