お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「ま、まあ……とりあえず、私は貴方の傍から離れないってことで。それより、レーヴェン(・・・・・)から話を聞きましょ。こいつ、絶対何か隠して……」

「る、ルーシーさん!口調が……!」

 慌てた様子で話を遮り、リディア嬢はこちらを振り返る。
と同時に、ルーシー嬢が『あっ……』と声を漏らした。
サァーッと青ざめていく彼女を前に、私はゆるりと口角を上げる。
だって、あまりにもおっちょこちょい過ぎて。

「ふふふっ。大丈夫だよ、気にしてないから。というより────君が私を……いや、私達を呼び捨てにしていたのはもう知っている」

「「!?」」

 『話の導入にちょうどいいだろう』と暴露すると、二人は石のように固まった。
視線だけ動かして互いを見遣り、『どういうこと!?』と無言で問い掛け合っている。
実に分かりやすい反応を示す二人の前で、私はまたもや笑みを零した。
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