お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
学園祭終了
◇◆◇◆
「……どうしてだい?」
困惑気味に理由を尋ねてくるレーヴェン殿下に、私はスッと目を細める。
差し伸べられた彼の手を一瞥し、ギュッと胸元を握り締めた。
「こうなった以上、全て正直に話すべきだと判断しました。下手に誤魔化して後々バレたら、それこそ大惨事ですし……何より、大切な人達に嘘はつきたくありません」
「……軽蔑の目で見られ、責められたとしてもかい?」
「はい、覚悟の上です」
間髪容れずに頷き、私は真っ直ぐに前を……現実を見据えた。
『逃げない』と決めた私に対し、レーヴェン殿下は複雑な表情を浮かべる。
「君は巻き込まれた側なんだろう?なのに、何で……」
「たとえどんな事情があろうと、ここ十年リディア・ルース・グレンジャーとして過ごし、周囲を騙してきたことに変わりはありません。私は裁かれるべき人間です」
半ば自分に言い聞かせるようにして反論を述べ、私はそっと目を伏せた。
最初はリディアの願いにより、正体を明かさなかった。
彼女はきっと、リディア・ルース・グレンジャーが愛されることを望んでいただろうから。
でも、最近は違う感情も芽生えてきて……『バレたくない』と思ってしまった。
このまま、皆と幸せに過ごしたいと願ってしまった。
その時点で、私は罪人。
罪から逃れることは出来ないわ。
「……どうしてだい?」
困惑気味に理由を尋ねてくるレーヴェン殿下に、私はスッと目を細める。
差し伸べられた彼の手を一瞥し、ギュッと胸元を握り締めた。
「こうなった以上、全て正直に話すべきだと判断しました。下手に誤魔化して後々バレたら、それこそ大惨事ですし……何より、大切な人達に嘘はつきたくありません」
「……軽蔑の目で見られ、責められたとしてもかい?」
「はい、覚悟の上です」
間髪容れずに頷き、私は真っ直ぐに前を……現実を見据えた。
『逃げない』と決めた私に対し、レーヴェン殿下は複雑な表情を浮かべる。
「君は巻き込まれた側なんだろう?なのに、何で……」
「たとえどんな事情があろうと、ここ十年リディア・ルース・グレンジャーとして過ごし、周囲を騙してきたことに変わりはありません。私は裁かれるべき人間です」
半ば自分に言い聞かせるようにして反論を述べ、私はそっと目を伏せた。
最初はリディアの願いにより、正体を明かさなかった。
彼女はきっと、リディア・ルース・グレンジャーが愛されることを望んでいただろうから。
でも、最近は違う感情も芽生えてきて……『バレたくない』と思ってしまった。
このまま、皆と幸せに過ごしたいと願ってしまった。
その時点で、私は罪人。
罪から逃れることは出来ないわ。