お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

俺達の答え《リエート side》

◇◆◇◆

 学園祭の終わりを告げる花火が全て打ち上げられ、来場者も帰った頃────俺とニクスはまだ校舎に残っていた。
多分、二人とも一人になるのが怖かったんだと思う。
余計なことを考えてしまいそうで。

「リエート、その資料を取れ」

「あ、ああ」

 突然声を掛けられ、ビクッとするものの……俺は一先ず書類の山を見下ろす。
そして、指示されたものを手に取ると、ニクスに差し出した。
いつものように(・・・・・・・)無言で受け取る幼馴染みを前に、俺は戸惑う。
表面上だけとはいえ、ここまで冷静に振る舞えるのか?と。

 きっと内心は混乱しっぱなしだろうが、取り繕う余裕はあるのか。
すげぇーな。俺は何も手につかないのに。

 進捗0の始末書を前に、俺は一つ息を吐いた。
『しっかりしねぇーと』と分かっているのに、考えた先から思考が溶けていく。
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