お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「ショック……じゃないのか?妹の体に他人が入っている訳だし……」
『嫌じゃないのか?』と直球で質問を投げ掛け、俺はそっと眉尻を下げた。
すると、ニクスは少し考え込むような動作を見せてからこう答える。
「ショック、とは少し違う気がする。さっきも言ったが、僕は本物のリディアと大して接点がないんだ。困惑はするけど、嫌悪感とか不快感とかはない……兄としては、怒るべきなんだろうがな」
どこか自分を責めるような口調でそう言い、ニクスは自嘲にも似た笑みを浮かべた。
『薄情だよな』と呟き、目を伏せるニクスは暫し押し黙る。
なんて声を掛ければいいのか迷っていると、幼馴染みはふと視線を上げた。
「まあ、とにかくリディアを突き放したり、軽蔑したりすることはない。きっと……いや、確実に何かしら事情はあるだろうからな。少なくとも、強引に人の体を奪った訳ではない筈だ」
「ああ、あいつはそういうタイプじゃないもんな」
『完全に同意見だ』と首に縦に振り、俺は共感を示す。
超が付くほどお人好しな彼女を思い浮かべる中、ニクスはスッと目を細めた。
『嫌じゃないのか?』と直球で質問を投げ掛け、俺はそっと眉尻を下げた。
すると、ニクスは少し考え込むような動作を見せてからこう答える。
「ショック、とは少し違う気がする。さっきも言ったが、僕は本物のリディアと大して接点がないんだ。困惑はするけど、嫌悪感とか不快感とかはない……兄としては、怒るべきなんだろうがな」
どこか自分を責めるような口調でそう言い、ニクスは自嘲にも似た笑みを浮かべた。
『薄情だよな』と呟き、目を伏せるニクスは暫し押し黙る。
なんて声を掛ければいいのか迷っていると、幼馴染みはふと視線を上げた。
「まあ、とにかくリディアを突き放したり、軽蔑したりすることはない。きっと……いや、確実に何かしら事情はあるだろうからな。少なくとも、強引に人の体を奪った訳ではない筈だ」
「ああ、あいつはそういうタイプじゃないもんな」
『完全に同意見だ』と首に縦に振り、俺は共感を示す。
超が付くほどお人好しな彼女を思い浮かべる中、ニクスはスッと目を細めた。