お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
一体、どんな気持ちでこの手紙を書いたのかしら?
少なくとも、愉快な気分ではなかったわよね。
きっと、何度も何度も迷って……躊躇って……書き直した筈よ。
リディアの苦しみを思うと、やるせない気持ちでいっぱいになるわ。
まだ幼く小さな体を見下ろし、私は『何でこんなことに……』と嘆く。
悩んだ末に出した結論だと理解していても、やはりとても悲しかった。
十歳にも満たないであろう子供が、自らの人生を諦めるだなんて……。
もし、私が傍に居たら……絶対、一人にさせないのに。
『貴方は尊重されるべき存在で、不幸に耐え凌ぐ必要はない』って……『私と一緒に幸せな日々を送ろう』って、言ったのに。
世界が違うのだからしょうがないんだろうけど、でも……憑依する前に出会いたかった
こんな手紙越しじゃなくて……きちんとお互いの顔を見て。
胸に抱いた手紙をそっと持ち上げ、私は改めて文面に目を通した。
瞼の裏に焼きつけるように、何度も何度も……。
ポロポロと大粒の涙を流しながら。
後悔や虚しさが胸中に渦巻く中、私はおもむろに前を向く。
すると、鏡越しに紫髪の美少女と目が合った。
少なくとも、愉快な気分ではなかったわよね。
きっと、何度も何度も迷って……躊躇って……書き直した筈よ。
リディアの苦しみを思うと、やるせない気持ちでいっぱいになるわ。
まだ幼く小さな体を見下ろし、私は『何でこんなことに……』と嘆く。
悩んだ末に出した結論だと理解していても、やはりとても悲しかった。
十歳にも満たないであろう子供が、自らの人生を諦めるだなんて……。
もし、私が傍に居たら……絶対、一人にさせないのに。
『貴方は尊重されるべき存在で、不幸に耐え凌ぐ必要はない』って……『私と一緒に幸せな日々を送ろう』って、言ったのに。
世界が違うのだからしょうがないんだろうけど、でも……憑依する前に出会いたかった
こんな手紙越しじゃなくて……きちんとお互いの顔を見て。
胸に抱いた手紙をそっと持ち上げ、私は改めて文面に目を通した。
瞼の裏に焼きつけるように、何度も何度も……。
ポロポロと大粒の涙を流しながら。
後悔や虚しさが胸中に渦巻く中、私はおもむろに前を向く。
すると、鏡越しに紫髪の美少女と目が合った。