お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
お開き
『ギフトを提供なんて、出来るのか?』と問い質す兄に、ルーシーさん……ではなく、リエート卿が回答を口にする。
「洗礼式はあくまで、神より賜った力を確認する儀式。力そのものは誕生した時点で、授かっている。だから、一応……可能ではあるんじゃないか?」
『洗礼式の前にギフトの力を発揮するやつも、たまに居るし』と補足し、リエート卿は額に手を当てた。
ルーシーさんの考えを否定する材料がなくなり、戸惑っているのだろう。
聖騎士としては、神の恩恵を取り引きするなど……想像したくもない発想の筈だから。
『ふぅ……』と息を吐き出す彼を他所に、ノクターン皇帝陛下はこちらへ視線を向ける。
「ちなみに取られたギフトが何か分かるかい?」
「えっと……ルーシーさん曰く、『魔力無限』というギフトらしいです」
「はぁ……これはまた厄介なものを渡してくれたな」
思わずといった様子で愚痴を零し、ノクターン皇帝陛下はやれやれと頭を振った。
落胆を見せる彼の前で、私は慌てて弁解へ走る。
「洗礼式はあくまで、神より賜った力を確認する儀式。力そのものは誕生した時点で、授かっている。だから、一応……可能ではあるんじゃないか?」
『洗礼式の前にギフトの力を発揮するやつも、たまに居るし』と補足し、リエート卿は額に手を当てた。
ルーシーさんの考えを否定する材料がなくなり、戸惑っているのだろう。
聖騎士としては、神の恩恵を取り引きするなど……想像したくもない発想の筈だから。
『ふぅ……』と息を吐き出す彼を他所に、ノクターン皇帝陛下はこちらへ視線を向ける。
「ちなみに取られたギフトが何か分かるかい?」
「えっと……ルーシーさん曰く、『魔力無限』というギフトらしいです」
「はぁ……これはまた厄介なものを渡してくれたな」
思わずといった様子で愚痴を零し、ノクターン皇帝陛下はやれやれと頭を振った。
落胆を見せる彼の前で、私は慌てて弁解へ走る。