お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

和解と懇願

「わ、私のことを責めないのですか……?」

 堪らず質問を投げ掛けると、両親は僅かに目を剥いた。

「責める?どうして?陛下も仰ったように、アカリはただの被害者じゃない」

「それに元を正せば、全て我々の責任だ。リディアが憑依という手段を取る前に、己の過ちを自覚し改善するべきだった」

 過去の行いを悔やむように目を伏せ、父はグッと手を握り締める。
逃げずに自分の罪と向き合う彼は、とても苦しそうで……でも、凄く誠実に見えた。
ハッと息を呑む私の前で、父はおもむろに顔を上げる。
と同時に、真っ直ぐこちらを見据えた。

「ここからは未来の話をしたいんだが」

 そう前置きしてから、父は僅かに身を乗り出す。

「もし、アカリさえ良ければ────これからも家族として接してほしい」

「!」

 家族のままで、居てもいいの?
また『お父様』『お母様』って、呼んでもいいの?
私……グレンジャー公爵家の一員になっても、いいの?
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