お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
そもそも、聖獣の存在理由は『光の乙女』所持者にしか使えないアイテム────聖なる杖を守るためだから。
お供になって仕えるのは、完全に別の話。
『ヒロインが特別なだけ』と思いつつ、私は歩を進める。
すると、間もなくして光を放つ泉が見えてきた。
『あそこに聖獣が居る筈……』とゲームの知識を呼び起こす中、
「今代の『光の乙女』は随分と凡庸だな」
と、奥から声が聞こえてきた。
『この口調、もしかして……』と思案しながら、私は泉の前まで足を運ぶ。
と同時に─────白い虎が水面から顔を出した。
間違いない……この虎が、
「聖獣……」
「ご名答」
ひょいっと水の上に上がり、こちらを見つめる虎はさっきまで泉の中に居たのに全く濡れていない。
『これもゲームの設定通り……』と考え込む私を前に、聖獣はゆらゆらと尻尾を揺らす。
真っ青な瞳に不快感を滲ませながら。
お供になって仕えるのは、完全に別の話。
『ヒロインが特別なだけ』と思いつつ、私は歩を進める。
すると、間もなくして光を放つ泉が見えてきた。
『あそこに聖獣が居る筈……』とゲームの知識を呼び起こす中、
「今代の『光の乙女』は随分と凡庸だな」
と、奥から声が聞こえてきた。
『この口調、もしかして……』と思案しながら、私は泉の前まで足を運ぶ。
と同時に─────白い虎が水面から顔を出した。
間違いない……この虎が、
「聖獣……」
「ご名答」
ひょいっと水の上に上がり、こちらを見つめる虎はさっきまで泉の中に居たのに全く濡れていない。
『これもゲームの設定通り……』と考え込む私を前に、聖獣はゆらゆらと尻尾を揺らす。
真っ青な瞳に不快感を滲ませながら。