お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「不老不死だから、前回のように自害することも叶わない……嗚呼、一体どうすればいいんだ?どうしたら、この苦痛から解放される?」

 『もうゆっくり休みたいのに……』と愚痴を漏らしつつ、僕はあらゆる方法を試した。
まずは封印。
自分で自分に束縛を掛けるなどやったこともないが、発動自体は可能。
ただし、何もない空間に閉じ込められるだけで意識はきちんとあるため、永眠という目的を果たせなかった。

 なので、今度は『等価交換』というギフトを用いて『不老不死』を誰かに渡せないか画策するが……なかなか成立しない。
というのも、『等価交換』は互いが同じ価値と定めたものしか交換出来ないため。
ちょっとでも、『損をしている』『得をしている』と思ってはいけない。

 僕のような変わり者はさておき、普通の人から見れば『不老不死』は価値をつけられないほどの代物。
それと同じ価値のものを差し出す、というのは到底不可能。
また、僕にとっての『不老不死』の価値が極端に低いことも失敗要因の一つ。
正直、このギフトを差し出せるなら髪の毛一本が対価でも構わないからね。
< 549 / 622 >

この作品をシェア

pagetop