お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「確かに世界を救うために、私達はあらゆるものを諦めてきたけど……私は貴方と過ごせて、幸せだったよ。楽しかった」
「同じく。たとえ、あの頃に戻って違う人生を集めたとしても、俺はお前達との旅を選ぶ」
「まあ、何度も世界を救って疲弊し切ったハデスと俺達じゃ、訳が違うかもしれないけど……でも、何度繰り返されてもこの選択は変わらない」
「ハデス、もし私達と同じ気持ちなら死ぬのは考え直してくれない?」
『お願いよ』と述べる茶髪の美女に、魔王は顔を歪める。
迷いを露わにしながら俯き、ギュッと手を握り締めた。
「でも、僕はもう疲れたんだ……」
「ねぇ、ハデス。よく考えてみて。この世界で魔王たる貴方を除いて、脅威となる存在は居る?」
幼子に話し掛けるような口調で優しく問い、茶髪の女性はスッと目を細める。
と同時に、赤髪の美丈夫が横から身を乗り出した。
「同じく。たとえ、あの頃に戻って違う人生を集めたとしても、俺はお前達との旅を選ぶ」
「まあ、何度も世界を救って疲弊し切ったハデスと俺達じゃ、訳が違うかもしれないけど……でも、何度繰り返されてもこの選択は変わらない」
「ハデス、もし私達と同じ気持ちなら死ぬのは考え直してくれない?」
『お願いよ』と述べる茶髪の美女に、魔王は顔を歪める。
迷いを露わにしながら俯き、ギュッと手を握り締めた。
「でも、僕はもう疲れたんだ……」
「ねぇ、ハデス。よく考えてみて。この世界で魔王たる貴方を除いて、脅威となる存在は居る?」
幼子に話し掛けるような口調で優しく問い、茶髪の女性はスッと目を細める。
と同時に、赤髪の美丈夫が横から身を乗り出した。