お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
『富豪の感覚に早く慣れなければ』と思案する中、母が大広間に姿を現す。
誰かを探すようにキョロキョロ辺りを見回し、私達の存在に気がつくと、パッと表情を明るくした。
「リディア、ニクス!こっちへ、いらっしゃい!仕立て屋を呼んだから、パーティー用の衣装を見繕いましょう!」
笑顔で手招きする母に、私はパチパチと瞬きを繰り返す。
だって、ドレスなら既にたくさん持っているから。
まだ袖を通していないものも多くあるため、新たに仕立てるという発想がなかった。
『本当に惜しみなくお金を使うのね』と半ば感心していると、兄がこちらに手を差し伸べる。
「ボーッとしてないで、早く行くぞ」
「あっ、はい」
急かされるまま兄の手を取ると、彼はスタスタと母の元まで向かう。
私はその後ろをただついて行き、あれよあれよという間に別室へ通された。
『まずはリディアの衣装を決めましょう!』と言う母に頷き、私は仕立て屋の指示に従う。
まずは採寸を行ってからドレスの要望を伝え、幾つかカタログを見せてもらった。
────が、ファッションに興味がなかったため、ピンと来ず……母と兄に丸投げする。
誰かを探すようにキョロキョロ辺りを見回し、私達の存在に気がつくと、パッと表情を明るくした。
「リディア、ニクス!こっちへ、いらっしゃい!仕立て屋を呼んだから、パーティー用の衣装を見繕いましょう!」
笑顔で手招きする母に、私はパチパチと瞬きを繰り返す。
だって、ドレスなら既にたくさん持っているから。
まだ袖を通していないものも多くあるため、新たに仕立てるという発想がなかった。
『本当に惜しみなくお金を使うのね』と半ば感心していると、兄がこちらに手を差し伸べる。
「ボーッとしてないで、早く行くぞ」
「あっ、はい」
急かされるまま兄の手を取ると、彼はスタスタと母の元まで向かう。
私はその後ろをただついて行き、あれよあれよという間に別室へ通された。
『まずはリディアの衣装を決めましょう!』と言う母に頷き、私は仕立て屋の指示に従う。
まずは採寸を行ってからドレスの要望を伝え、幾つかカタログを見せてもらった。
────が、ファッションに興味がなかったため、ピンと来ず……母と兄に丸投げする。