お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「分身体を用意してくれて、ありがとう」
「いいえ、どういたしまして。それより、ちょっと話を……」
『話をしましょう』と続ける筈だった言葉は、突如出現した結界によって遮られた。
身の周りを囲うように展開されたソレのせいで、私は身動きが取れない。
『えっと……ソーシャルディスタンスってこと?』と困惑していると、リディアが追加でもう一つ結界を張る。
本体の能力を全てコピーしているから、魔法が使えることは知っているけど、これは……。
初めて使う筈の魔法を巧みに操るリディアに、私は度肝を抜かれた。
『私より全然上手だわ』と目を見張る中、彼女はクルリと身を翻す。
「それじゃあ、そこで大人しくしていて」
ちょっと癖毛がかった紫髪を手で払い、リディアは歩を進めた。
迷いの足取りで魔王に近づいていく彼女を前に、私は嫌な予感を覚える。
「いいえ、どういたしまして。それより、ちょっと話を……」
『話をしましょう』と続ける筈だった言葉は、突如出現した結界によって遮られた。
身の周りを囲うように展開されたソレのせいで、私は身動きが取れない。
『えっと……ソーシャルディスタンスってこと?』と困惑していると、リディアが追加でもう一つ結界を張る。
本体の能力を全てコピーしているから、魔法が使えることは知っているけど、これは……。
初めて使う筈の魔法を巧みに操るリディアに、私は度肝を抜かれた。
『私より全然上手だわ』と目を見張る中、彼女はクルリと身を翻す。
「それじゃあ、そこで大人しくしていて」
ちょっと癖毛がかった紫髪を手で払い、リディアは歩を進めた。
迷いの足取りで魔王に近づいていく彼女を前に、私は嫌な予感を覚える。