お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「お願い、リディア!やめて……!」
「どうして?私はもうどうせ、死んでいるもの。魔王と共に天へ昇っても、別に問題ないわ」
「それを言うなら、私だって……!」
既に一回目の人生を終えた身の上であるため、私は『貴方こそ生きるべきよ!』と強く思う。
「私が魔王をあの世まで連れていくわ!だから、リディアは自分の体に憑依し直して!体さえあれば、何とかなるんでしょう!?」
────かつての私がそうだったように。
グッと強く手を握り締め、私は大きく深呼吸した。
聖剣使用により倒されたリエート卿や難しい顔つきの兄を一瞥し、リディアに向き合う。
「私はもう充分生きたわ。掛け替えのない時間をもらった。だから、ここから先は本来の体の持ち主であるリディアが……」
「お断りよ」
一瞬の躊躇いもなく拒絶の言葉を吐き、リディアは魔王の手を強く握り締めた。
絶対にやめない、とでも言うように。
幾つもの鎖が魔王とリディアの体を……運命を繋げていく中、私は堪らず手を伸ばした。
が、新しく張ったであろう結界に弾かれる。
「どうして?私はもうどうせ、死んでいるもの。魔王と共に天へ昇っても、別に問題ないわ」
「それを言うなら、私だって……!」
既に一回目の人生を終えた身の上であるため、私は『貴方こそ生きるべきよ!』と強く思う。
「私が魔王をあの世まで連れていくわ!だから、リディアは自分の体に憑依し直して!体さえあれば、何とかなるんでしょう!?」
────かつての私がそうだったように。
グッと強く手を握り締め、私は大きく深呼吸した。
聖剣使用により倒されたリエート卿や難しい顔つきの兄を一瞥し、リディアに向き合う。
「私はもう充分生きたわ。掛け替えのない時間をもらった。だから、ここから先は本来の体の持ち主であるリディアが……」
「お断りよ」
一瞬の躊躇いもなく拒絶の言葉を吐き、リディアは魔王の手を強く握り締めた。
絶対にやめない、とでも言うように。
幾つもの鎖が魔王とリディアの体を……運命を繋げていく中、私は堪らず手を伸ばした。
が、新しく張ったであろう結界に弾かれる。