お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
鏡に映る紫髪の美少女を横目に捉えつつ、『うん、凄く素敵』と共感する。
「じゃあ、ドレスはこれに決め……」
「あっ、次はこのドレスを試着してくれる?あと、これとこれも。リディアはスタイルも良くて綺麗だから、色んなものを着せたくなっちゃうわ~」
『これに決めます』と続ける筈だった私の言葉を遮り、母は追加のドレスを選ぶ。
その隣で、兄が『じゃあ、あっちの青いやつも』と口を挟んだ。
まだまだ終わる気配のないドレス選びに、私は硬直する。
────が、仕立て屋の従業員によって再び隣の部屋へ押し込まれ、服を着替えた。
そして元の部屋に戻り、母と兄にお披露目。
という流れを何度も繰り返す。それはもうゲンナリするほどに。
おかげでドレスの試着を終える頃には、ヘトヘトになっていた。
『綺麗だ』と褒められるのは嬉しいし、色んなドレスを試着するのも楽しいけど、さすがにちょっと疲れた。
貴族のお買い物って、いつもこんなに長引くの?
『誕生日パーティーの衣装を決めるだけで、半日掛かるなんて……』と、私は遠い目をする。
着せ替え人形にでもなったかのような心境へ陥りつつ、一つ息を吐いた。
「じゃあ、ドレスはこれに決め……」
「あっ、次はこのドレスを試着してくれる?あと、これとこれも。リディアはスタイルも良くて綺麗だから、色んなものを着せたくなっちゃうわ~」
『これに決めます』と続ける筈だった私の言葉を遮り、母は追加のドレスを選ぶ。
その隣で、兄が『じゃあ、あっちの青いやつも』と口を挟んだ。
まだまだ終わる気配のないドレス選びに、私は硬直する。
────が、仕立て屋の従業員によって再び隣の部屋へ押し込まれ、服を着替えた。
そして元の部屋に戻り、母と兄にお披露目。
という流れを何度も繰り返す。それはもうゲンナリするほどに。
おかげでドレスの試着を終える頃には、ヘトヘトになっていた。
『綺麗だ』と褒められるのは嬉しいし、色んなドレスを試着するのも楽しいけど、さすがにちょっと疲れた。
貴族のお買い物って、いつもこんなに長引くの?
『誕生日パーティーの衣装を決めるだけで、半日掛かるなんて……』と、私は遠い目をする。
着せ替え人形にでもなったかのような心境へ陥りつつ、一つ息を吐いた。