お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
気を抜かずにやり遂げましょう。
────と奮起したところで、侍女達に『そろそろお時間です』と促される。
私は一度深呼吸して立ち上がると、兄に目を向けた。
「行くぞ」
「はい、お兄様」
差し伸べられた兄の手に自身の手を重ね、私は前を見据える。
そして控え室を出ると、大広間の前まで移動した。
『いよいよ、本番ね』と気を引き締める中、観音開きの扉は開け放たれる。
と同時に、私達はパーティー会場の中へ足を踏み入れた。
「まあ、あの子が……」
「公爵様と目がそっくりね」
「可愛らしいお嬢さんじゃないか」
「兄君とも仲が良さそうだ」
比較的好反応を示す招待客達に、私は安堵しつつ歩みを進める。
会場の奥には既に入場を果たした両親の姿があり、穏やかな表情でこちらを見つめていた。
『微笑ましい』と言わんばかりの表情を浮かべる二人の元まで何とか辿り着き、私達は隣に並ぶ。
すると、傍で控えていたメイドが果実水の入ったグラスを手渡してくれた。
「リディア、出番だ」
「はい」
父の言葉に一つ頷き、私は招待客達の方へ向き直る。
────と奮起したところで、侍女達に『そろそろお時間です』と促される。
私は一度深呼吸して立ち上がると、兄に目を向けた。
「行くぞ」
「はい、お兄様」
差し伸べられた兄の手に自身の手を重ね、私は前を見据える。
そして控え室を出ると、大広間の前まで移動した。
『いよいよ、本番ね』と気を引き締める中、観音開きの扉は開け放たれる。
と同時に、私達はパーティー会場の中へ足を踏み入れた。
「まあ、あの子が……」
「公爵様と目がそっくりね」
「可愛らしいお嬢さんじゃないか」
「兄君とも仲が良さそうだ」
比較的好反応を示す招待客達に、私は安堵しつつ歩みを進める。
会場の奥には既に入場を果たした両親の姿があり、穏やかな表情でこちらを見つめていた。
『微笑ましい』と言わんばかりの表情を浮かべる二人の元まで何とか辿り着き、私達は隣に並ぶ。
すると、傍で控えていたメイドが果実水の入ったグラスを手渡してくれた。
「リディア、出番だ」
「はい」
父の言葉に一つ頷き、私は招待客達の方へ向き直る。