お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「黙れ、この筋肉バカ」
「おっ?久々に一戦交えるか?」
腰に差した剣に手を置き、リエート卿は好戦的な姿勢を見せる。
『前回は引き分けだったから、今度こそ勝つ』と意気込み、僅かに殺気……というか、物々しい雰囲気を放った。
すると、兄は挑発に応じて立ち上がる。
「臨むところだ。この際だから、徹底的に叩きのめして……」
「────二人とも、いい加減になさい!今日はリディアの誕生日なのよ!」
「ちょっとは自重してくれ」
『祝いの席で乱闘騒ぎはやめて』と注意する両親に、兄とリエート卿はハッとする。
弾かれたように今夜の主役である私を見て、素直に謝罪した。
さすがにリディアの初めての誕生日パーティーを台無しにするのは不味い、と判断したらしい。
シュンと肩を落とす二人に、私は『気にしてませんから』と声を掛ける。
乱闘騒ぎは困るけど、二人のじゃれ合い自体は見ていて楽しかったから。
本心を言い合えるような関係は、なんだか憧れるわ。
「おっ?久々に一戦交えるか?」
腰に差した剣に手を置き、リエート卿は好戦的な姿勢を見せる。
『前回は引き分けだったから、今度こそ勝つ』と意気込み、僅かに殺気……というか、物々しい雰囲気を放った。
すると、兄は挑発に応じて立ち上がる。
「臨むところだ。この際だから、徹底的に叩きのめして……」
「────二人とも、いい加減になさい!今日はリディアの誕生日なのよ!」
「ちょっとは自重してくれ」
『祝いの席で乱闘騒ぎはやめて』と注意する両親に、兄とリエート卿はハッとする。
弾かれたように今夜の主役である私を見て、素直に謝罪した。
さすがにリディアの初めての誕生日パーティーを台無しにするのは不味い、と判断したらしい。
シュンと肩を落とす二人に、私は『気にしてませんから』と声を掛ける。
乱闘騒ぎは困るけど、二人のじゃれ合い自体は見ていて楽しかったから。
本心を言い合えるような関係は、なんだか憧れるわ。