お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
『少年漫画みたいでいい』と頬を緩める中、リエート卿が何かを思い出したかのように顔を上げる。
「あっ!そうだ、これ。ただのアクセサリーだけど、良かったら使ってくれ」
ずっと右手に持っていた小さな箱を差し出し、リエート卿はニッと笑った。
『改めて、誕生日おめでとう』と述べる彼を前に、私はプレゼントを受け取る。
そして中を見ていいか確認してから箱を開けると、四葉のネックレスが出てきた。
「四葉のクローバーは、幸運を運んでくれるんだぜ」
「安直だな」
「なんだと〜?」
『喧嘩を売っているのか』と口を八の字にするリエート卿に、兄はニヤリと笑う。
「だが、悪くない。お前にしては、よくやった」
『筋肉バカのことだから、剣でも持ってきたのかと思っていたからな』と言って、肩を竦めた。
『見直した』と感心する兄に対し、リエート卿は鼻高々。
『そうだろう、そうだろう』と言わんばかりに何度も頷き、顎を逸らした。
すっかり得意げになる彼の前で、私は内心苦笑を浮かべる。
お兄様の手のひらで、転がされているわね。
『素直な性格なのだろう』とリエート卿の評価を改め、私はクローバーのネックレスをそっと撫でた。
「あっ!そうだ、これ。ただのアクセサリーだけど、良かったら使ってくれ」
ずっと右手に持っていた小さな箱を差し出し、リエート卿はニッと笑った。
『改めて、誕生日おめでとう』と述べる彼を前に、私はプレゼントを受け取る。
そして中を見ていいか確認してから箱を開けると、四葉のネックレスが出てきた。
「四葉のクローバーは、幸運を運んでくれるんだぜ」
「安直だな」
「なんだと〜?」
『喧嘩を売っているのか』と口を八の字にするリエート卿に、兄はニヤリと笑う。
「だが、悪くない。お前にしては、よくやった」
『筋肉バカのことだから、剣でも持ってきたのかと思っていたからな』と言って、肩を竦めた。
『見直した』と感心する兄に対し、リエート卿は鼻高々。
『そうだろう、そうだろう』と言わんばかりに何度も頷き、顎を逸らした。
すっかり得意げになる彼の前で、私は内心苦笑を浮かべる。
お兄様の手のひらで、転がされているわね。
『素直な性格なのだろう』とリエート卿の評価を改め、私はクローバーのネックレスをそっと撫でた。