お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
ゲームや小説で度々出てくる単語だから、何となく理解は出来るけど……作品によって、定義も設定も違うからいまいちピンと来ない。
でも、皆の反応を見る限り相当危険な生物みたいね。
それが大群となって押し寄せてきているなら、クライン公爵家は今頃大変なことになっている筈。
自分なりに何とか事態を呑み込もうと、必死に思考を回す。
『緊急事態……緊急事態……』と脳内で反芻する中、父がふとこちらに目を向けた。
かと思えば、何かを察したかのようにそっと腰を折る。
「魔物は魔王の持つギフト────超進化によって、改造された動物のことだ。個体にもよるが、魔法も使えて非常に危ない。あと、魔王に絶対的忠誠を誓っている」
「その魔王って、悪い人なんですか?」
「ああ。長きに渡り、人類を……いや、神を討ち滅ぼそうとしてきたやつだ。長寿関係のギフトを持っているのかまだ健在だが、元は人間だったらしい。まあ、事実かどうか分からないが」
『ここ数十年は姿を現していないからな』と言い、父は身を起こす。
と同時に、ある方向を見つめた。
表情は相変わらず無そのものだが、どこか浮かない様子。
タンザナイトの瞳も、いつもよりちょっと暗かった。
でも、皆の反応を見る限り相当危険な生物みたいね。
それが大群となって押し寄せてきているなら、クライン公爵家は今頃大変なことになっている筈。
自分なりに何とか事態を呑み込もうと、必死に思考を回す。
『緊急事態……緊急事態……』と脳内で反芻する中、父がふとこちらに目を向けた。
かと思えば、何かを察したかのようにそっと腰を折る。
「魔物は魔王の持つギフト────超進化によって、改造された動物のことだ。個体にもよるが、魔法も使えて非常に危ない。あと、魔王に絶対的忠誠を誓っている」
「その魔王って、悪い人なんですか?」
「ああ。長きに渡り、人類を……いや、神を討ち滅ぼそうとしてきたやつだ。長寿関係のギフトを持っているのかまだ健在だが、元は人間だったらしい。まあ、事実かどうか分からないが」
『ここ数十年は姿を現していないからな』と言い、父は身を起こす。
と同時に、ある方向を見つめた。
表情は相変わらず無そのものだが、どこか浮かない様子。
タンザナイトの瞳も、いつもよりちょっと暗かった。