契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「もしかして、この季節外れの花火も……?」
「澪花の誕生日を祝う、澪花のための花火」
誕生日の記憶は、幼い頃に家族でささやかなお祝いをしたのが一番嬉しかった思い出。
大人になってから、家族以外の誰かにお祝いしてもらったことはなく、むしろ嫌な思い出しか蘇らない。
お付き合いをして、彼に誕生日を祝ってもらうことに当時の私も密かに憧れていた。
でも、誕生日の一日は呆気なく終わり、「おめでとう」の言葉ひとつもらえなかった。
それでも自分から誕生日だったことは言い出せず、日が経って何気ない会話の中で二月二日が誕生日だったことを話せば、驚くこともなく軽く受け流された。
当時、相当なショックを受けた。
なにかを期待していたんじゃない。
でも、彼のいる誕生日はキラキラしたイベントになるのだろうと想像していたから。
それからは、自分の誕生日になにか思うこともなく過ごしてきた。
今日だって、普段と変わらない一日を過ごして終わっていくと思っていたのに。こんな、サプライズ……。