契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


 花火を眺めながら可愛らしいケーキをいただくという誕生日サプライズをしてもらい、ホテルを出た時に見た腕時計は二十一時をちょうど回った頃だった。

 エントランス前の車寄せにはすでに蓮斗さんの車が用意されていて、再び助手席に乗り込む。


「これは着くまで後部座席に置いておこう」


 薔薇のデコレーションケーキは食べきれず、蓮斗さんが持ち帰ってお姉さんと食べればいいと手配してくれた。

 そのケーキの入った紙袋をしっかりと持って膝の上に載せてシートにかけたところ、蓮斗さんが預かって後部座席に保管してくれた。


「すみません、ありがとうございます」


 嬉しくて膝の上に載せて大事に持って帰りたかったけれど、私の脚からの体温でクリームが溶けても良くない。

 車はホテルのロータリーを走り公道に出ていく。

 駅前もこの時間になると渋滞もなく、我が家への道もスムーズに進んだ。

 自宅に到着すると、蓮斗さんはエンジンを切り、シートベルトを外す。しかし、いつものように運転席を降りてはいかない。普段ならここで先に降車してわざわざ助手席のドアを開けにきてくれる。

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