契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「澪花、渡したいものがある」
蓮斗さんは懐からなにかを手に取る。
薄暗い車内の中でよく見ると、その手の中には小さな黒い箱。
「これは……?」
蓮斗さんがその上部に触れる。ゆっくりと開かれたそこには、輝く大粒の石がのるリングが。
驚いて蓮斗さんの顔に視線を上げると、蓮斗さんは箱の中に視線を落としたままリングをつまみだす。
「左手を」
言われるがまま左手を差し出す。
蓮斗さんはそっと私の左手を取り、手にしたリングを薬指へとゆっくりはめていく。
「……少し、きついか?」
「い、いえ、そんなことは。夜なので、少し手がむくんでいるのだと思います」
冷静に答えているようで、心臓はまた大きく音を立て始めている。左手の薬指ということは、エンゲージリングで間違いない。
「そうか。サイズの調整はできると言われているから、必要があれば言って」