契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


 こんなに大きなダイヤモンドのリング、本物を間近で見るのは初めて。

 外からの街灯の光を吸収して、ブリリアンカットされたラウンドダイヤモンドはキラキラと輝きを放っている。


「俺の妻になってもらうという形として、エンゲージリングを」


 夢から急に現実に引き戻されたような気がした。

 ほんの少しだけ、今日の誕生日を祝ってもらった時間が、契約に囚われない純粋で本物のような気がしていたのだと気づく。

 でも、私たちが一緒にいるのは契約結婚をするからという大前提があるから。

 無条件に想い合って一緒にいるわけではない。おこがましくも、蓮斗さんのような人を相手にそんなことを一瞬でも思った自分が怖い。


「わかりました。大切に、管理します」


 それがわかっているのに、さっきの蓮斗さんの言葉と優しい表情がはっきりと頭の中に残っている。


『ただ笑ってほしかったから。喜ぶ顔を見られたらと思った』


 その言葉が、向けてくれた柔らかい視線が、本心だったら、本物だったらいいな、なんて思う自分が存在していた。

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