契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
6、予想外に甘い契約新婚生活


 一年で一番寒い時期となり、昨日は雪もちらついた。

 二月も中旬となる、二月十三日。

 先週末、新居へと引越し、今日で早三日。

 引越しを終えた日、蓮斗さんは夕方から中国へと出張で出かけていった。明日には帰ってくると聞いているけれど、中国で来月オープンするホテルの視察や現地での打ち合わせで多忙を極めているようだ。

 引越し早々、この広い新居でひとりで過ごすのは不安もあったけれど、三日経った今はこの新生活スタートで良かったと思えている。

 ただでさえ新しい場所で緊張しているのに、いきなり蓮斗さんとひとつ屋根の下は心臓がもたなかった気がする。

 せめて場所慣れしてから、共同生活が始まるなら少しは違うだろう。

 引越しをした日、蓮斗さんは予告通り婚姻届も用意していて、荷物の運び入れが終わったタイミングでふたりで区役所を訪れた。

 互いに記入した婚姻届。

 提出することは事務的で呆気ないものだったけれど、紙切れ一枚を提出しただけで私たちの関係が〝夫婦〟となるのはやっぱり不思議で実感がなくて……。

 でも、もうそんなことを言ってもいられない。私は彼の妻として、どこにいても堂々と振る舞わなくてはならないのだ。

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