契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


 ここに引っ越してから、実家にいる時より通勤もより楽になった。

 でも、三日たった今もこの厳重なエントランスを入ることにドギマギしてしまう。止められないだろうかなんてことを考えながら、在中のコンシェルジュに頭を下げてエレベーターホールに向かう。

 きっとしばらくは出入りにすら緊張は解けない。


「ただいま……」


 指紋認証で誰もいない部屋に帰宅する。玄関はセンサーライトで私を照らし出迎えた。

 毎日、玄関を入ってすぐ見えるバルコニーのプールには目を奪われる。

 今日の夕飯はなににしようかと考えながら、ダブルシンクの洗面台で手洗いを済ませる。

 一昨日、このマンションからほど近いスーパーマーケットで食材の買い出しはしてきた。

 キッチンも使ってみないと勝手がわからないから、初日から少しずつ料理を始めている。

 実家のキッチンとは違う立派なシステムキッチンは、海外メーカーの高級品。食洗器もシェア率ナンバーワンの人気の海外製だった。

 これだけで百万近くするだろう。

 用意された後付けのキッチン家電も最新のものばかりで、ひとつずつ取扱説明書を見て使用し始めた。

 でも、私のこれまでの調理経験程度ではここにある家電は出番がないものばかり。宝の持ち腐れだ。駆使すれば手の込んだ料理も簡単に作れるだろうから、これから使いこなせるように料理の勉強もしていきたい。

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