契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


 そうだ、明日ってバレンタインか……。

 ふと、今日が二月十三日だということからバレンタインデーの存在を思い出す。

 毎年これといって縁のない行事だけど、蓮斗さんのことが頭に浮かぶ。

 先日、突然サプライズで誕生日をお祝いしてもらい嬉しかったことが思い出された。

 明日帰ってくるなら、なにかお菓子でも……。

 そんなことを思っていた時、リビングのソファに置いたバッグの中からスマートフォンの着信が聞こえてくる。キッチンに入ったところだったけれど、急いでスマートフォンを取りにソファに向かった。

 お姉ちゃん……?

 画面には、姉の名前が。実家を出てから初めての電話だ。


「もしもし? お姉ちゃん?」

《あ、澪花? 今大丈夫?》

「うん、どうしたの? なにかあった?」

《さっきね、帰ってきたら書類が届いてて。田代ファイナンスから》


 田代ファイナンスとは、父が借金をしていた金融会社。そこから書類とはなんだろう? 普段、自宅に郵送されてくる書類なんかない。


《見たら、完済の証明で……》

「え、えぇ⁉」

《えっ、澪花も知らないの?》


 姉は私がなにか事情を知っていると思って連絡をしてきた様子。でも、今の今までそんなことは知らない。


 あんなにまだ残っている借金が、完済されたって……?

< 112 / 199 >

この作品をシェア

pagetop