契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
驚いた勢いで電話してしまったこともあり、少し冷静になろうとゆっくりと深呼吸する。でも、今この場で確認しないわけにもいかない。
「少し前、姉から連絡がありまして……我が家の負債が、完済されたと連絡が来ていたそうなんです。蓮斗さん、ですよね?」
《ああ、そうだ。伝えるのが遅れて申し訳ない》
やっぱり……!
「そんな、母の治療費に加えてそんなことまで……!」
《澪花は俺の妻だ。なにか問題があるか?》
〝妻〟などと言われて鼓動が跳ねる。こうして改めて口にされるのはやっぱり落ち着かない。
《君の抱えるものは、俺も共に背負うつもりで一緒になることを決めた。当たり前のことをしただけだよ》
「当たり前って……でも、母の治療の面倒をみていただいただけでもう十分お世話になりましたから」
それだけでも申し訳なかったのに、まさかうちの借金まで面倒をみてもらうなんてやっぱりだめ。蓮斗さんが構わないと言っても私がそれを許せない。
「蓮斗さん、やっぱり──」
そんな時、向こうで《社長》と蓮斗さんを呼ぶ男性の声が聞こえた。秘書の方だろうか。蓮斗さんは私へ《ちょっと待って》と言って向こうの応対に入る。
《澪花、ごめん。この後、急な会食が入ってきた。終わった頃にかけ直してもいいか?》
「あ、はい。すみません、お忙しい時に私の話で時間を」
《そんなことは構わない。それじゃ、またあとで》
通話を終え、小さく息をつく。