契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
《もう少しで本社に到着するところなんだが、書斎のデスクに今から必要な書類が置いてあるんだ。本来なら秘書に取りに行ってもらうところだが、出張直後で生憎動きがつかない》
「私でよければ、会社にお届けします」
《都合はつくか? 無理を言うのは申し訳ない》
「大丈夫です。今から夕食の準備をするところだったので、先に書類をお届けします」
《悪い、助かるよ。受付には話を通しておくから》
蓮斗さんは最後にまた《ありがとう、気を付けて》と言って通話を終わらせた。
すぐに蓮斗さんの書斎に向かう。
「失礼、します……」
黒で統一された落ち着いたコーディネートは、仕事に集中できそうな空間。初めて入ったけれど、越してきたばかりなのにきちんと整理整頓がされている。それに、なんだかいい香りが漂う。爽やかなフローラルシトラス系の香りだ。
デスクの上にまとめて置いてある書類を見つけ手に取った。一緒に置いてあった会社名の入る封筒に書類を収納する。
そのまま身支度を整え、再びマンションを後にした。