契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


「新しい住まいには慣れたか」

「そうですね、少しは……いや、でもまだ慣れないです」

「そうか。不自由はなさそうか」

「はい、それはまったく」


 そんな会話をしているうち、エレベーターは地下へと到着する。

 地下は駐車場となっていて、一番手前の広いスペースに蓮斗さんの車が駐車されていた。

 エレベーターを降りる際、蓮斗さんは私に向かって手を差し伸べる。

 相変わらず鼓動を弾ませて手の伸ばすと、蓮斗さんは私の手を掴み引き寄せた。


「まだ手が冷たいな」

「一度冷えるとダメなんです。お風呂に入って温まるまで」

「冷え症なんだな」


 足先や指の末端が冷たくなるのは昔から。冬はあまり得意ではない。

 車に乗り込むとすぐに車は駐車場から地上に出ていく。


「あの、十七時から会議ということは、そんなに長時間は空き時間ないですよね?」

「ああ、そうだな。今からだと、帰って一時間くらいでまた戻らないといけないな」


 そのくらいの時間があるなら、話そうと思っていることは話せるだろうか。

 借金完済のことについて、会ったらちゃんと話したいと思っていた。この間の電話の時は時間が無くて曖昧なままになってしまったから、今日はちゃんと話をしたい。

 そのことを頭の中で整理しながら、マンションまでの道のり車に揺られた。

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