契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「不意打ちでそんなことを言われたら、調子に乗って勘違いするぞ?」
悪戯に微笑む綺麗な顔に胸がぎゅっとなる。目前で見つめ合うと、奥二重の切れ長の目が近づくのを感じた。
目を閉じれば、唇が触れ合う感覚だけ研ぎ澄まされる。そっと重なった口づけはすぐに離れ、また新たに重ねられる。それを何度か繰り返されると、どんどん体の熱が上がっていくのを感じた。
「澪花……? さっき、加賀から報告があった。うちの社員が悪かった」
こんな甘い雰囲気の中でさっきの一件を持ち出されて、また違う動揺が広がる。
今さっきの出来事がすでに蓮斗さんに伝わっていたことにも驚いた。
「い、いえ。蓮斗さんはなにも悪くないですから」
「うちの社員だ。全責任は俺にあるだろ」
「そうかも、しれませんけど……」
「彼らは厳重注意の上、左遷だ」
「さ、左遷⁉」
まさかの言葉に訊き返す。
「ああ、俺の妻に気安く声をかけたんだからな。澪花の視界に入らないところにいってもらう。当然だろう」
そう言った蓮斗さんの唇がまた私の唇に重なる。今度は少し強引に塞ぐような口づけで肩を揺らしてしまった。
「っ、ふ……」