契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
こめかみをフェザータッチで撫でられる感覚に徐々に意識がクリアになっていく。
薄っすらと目を開けた先に霞んで綺麗な顔が見えてきて一気に目が覚めた。
「っ……れ、蓮斗さん?」
「おはよう」
横にいたのは同じく横になった蓮斗さんで、腕枕で半身を起こし微笑を浮かべている。
えっ、横になってるって何故……⁉
勢いよく体を起こして、寝室のシルバーグレーのシーツがかけられる広いベッドの上にいたことに頭の中が混乱を極めた。
だって、おかしい。昨晩は、確か、確か……。
記憶を辿る。でも、いくら考えても昨晩はリビングのソファに掛けたところまでしか記憶が残っていない。
昨日の晩、蓮斗さんは宣言通り帰りが遅く、私はひとり用意したビーフシチューをいただいた。
それから入浴をし、蓮斗さんの帰宅を待とうとリビングのソファに腰を下ろした。そこまでの記憶しかない。
それなのに、ベッドで寝ているなんて、しかも蓮斗さんも一緒だなんて、どういうこと……?
起こされて、寝ぼけながら移動した?
だとしても、まったく記憶がないなんだ有り得ない。