契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「いつお帰りになったんですか?」
「二十二時前には帰ってきた」
それなら、私がソファに座って三十分もしないくらいだ。
「帰ったら、澪花がソファで寝ていたからここまで運んだ」
「えっ、ご、ごめんなさい!」
まさかとは思ったけれど、蓮斗さんが寝室まで運んでくれたなんて申し訳なさすぎる。
お世辞にも軽いとは言えない体重だし、寝ている人を運ぶのは通常より重いはずだ。
「俺の方こそ待たせて悪かった。帰りを待ってくれていたんだろう?」
「そうですけど、でも、寝落ちでご迷惑を……」
「そんなことくらいを迷惑なんて言うな」
蓮斗さんの大きな手が私の頭をぽんぽんとする。
寝起きのぼうっとした頭がやっと働いてきて、蓮斗さんの姿に鼓動が音を立て始める。
いつもきっちりとセットしている髪は無造作に流れていて、Tシャツなんてラフなプライベートな姿が新鮮でつい観察してしまう。
じっと見ていると、突然「澪花」と名前を口にされびくっと肩が揺れた。
「昨日言いそびれたが、近いうちに両親に会ってもらいたい」
「え……ご両親に」
「ああ、まだ会わせてなかったからな」
ご両親の話題が出て、ふと様々な疑問が浮かんでくる。
契約結婚というのは、私たちだけの秘密。私も家族には話していない。