契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
7、募る想いと切なさと
三月に入ると、春はすぐそこだと思いがちだけど、気温的にはまだまだ冬真っ只中。
今日も最高気温は十二度らしく、コートは必須だ。
着替えをし、メイクをして髪を整えて、姿見に映る自分の姿をチェックする。
ピンクベージュのAラインワンピースに、ホワイトのコート。清楚で落ち着いたコーディネートは、蓮斗さんがこの日のために用意してくれたものだ。
今日は、蓮斗さんのご両親と会初顔合わせの日。とうとうこの日がきてしまった。
着替えを済ませてリビングに出ていくと、蓮斗さんが私の姿を目に開口一番「いい感じだ」と褒めてくれた。
「大丈夫ですか? 良かった。用意していただきありがとうございます」
「ああ、構わない。でも、少し顔が眠そうだな」
「えっ、うそ」
確かに、言われてみれば顔が若干目覚めていないような気もする。
昨晩はいよいよ迎える顔合わせを前日に、なかなか寝付くことができなかった。
そんな私の様子に蓮斗さんはいち早く気づいてくれて、となりで寝付くまで寄り添ってくれていた。ただ黙って、髪を撫でてくれて。
それでもちゃんと眠りにつけたのは深夜一時を過ぎていたと思われる。