契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「こちら、千葉澪花さん。彼女と籍を入れました」
蓮斗さんに紹介され、またその場で頭を下げる。両手を畳につき、しっかりと頭を下げた。
「千葉澪花です。よろしくお願いします」
バクバク鳴る心音が全身を支配する。
じわりと前髪の下の額にも汗をかいてくる。
「初めまして。蓮斗の父です」
私の挨拶に反応してくれたのは意外にもお義父様の方で、「初めまして!」とまた頭を下げた。
白髪混じりの髪を撫で付け、シルバーフレームの眼鏡の下にある顔は蓮斗さんとよく似ている。
切れ長の奥二重の瞼、すうっと高い鼻梁、皺は目尻や口周りに見られるものの、若い頃はやはり美しい顔立ちだったのだろう。
蓮斗さんもお義父様くらいの年齢になったら、こんな風なダンディなおじ様になるに違いない。
「蓮斗の母です」
正面に座るお義母様からも続けて挨拶をされ、また「よろしくお願いいたします」と深く頭を下げる。
顔を上げてお義母様と目が合い、じっと観察するように見つめられて思わず息を止めていた。