契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
私の代わりに蓮斗さんがあの時の状況を説明してくれる。
でも、こんなに黙ったままでいいのだろうかと余計に焦りも増してくる。
「全部、こちらが勝手にしたお節介だったのに、驚くほど謙虚で。彼女のような女性にこれまで出会ったことはないです」
「本当に、そんなことは……見ず知らずの私に親切にしていただいて、あの時は感謝の気持ちでいっぱいでした」
私たちのやり取りをお義母様はじっと見つめている。
「それをきっかけに、交際を始めたということ?」
「何度も断られました。それでも、チャンスがほしいと懇願して」
つい「懇願なんてそんな」と口を挟む。
蓮斗さんはあくまで自分が一方的に好意を抱き、拒否する私に何度もアプローチをしたのだと伝えるつもりのようだ。
身分の違う私とどうして一緒になったのか、お義母様としては私が玉の輿にのりたいと思って近づいてきたのだろうと思うに違いない。
私がお義母様の立場なら、間違いなくそう疑うと思うからだ。