契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


「こんな話をして不安を煽ったな。悪かった。でも、澪花にも知っておいてもらいたかったから話した」


 両親との現状を包み隠さず話してくれた蓮斗さんに、横に首を振り「大丈夫です」と伝える。

 傍から見れば、裕福な家庭で順風満帆に生まれ育ったようにしか見えないけれど、蓮斗さんには蓮斗さんにしかわからない苦労に悩みながら生きてきたのだ。

 TACHIBANAの後継者として生まれ、親の用意した道を歩いてこなくてはいけなかったのだろうと察する。きっと、時に道を逸れたいこともあっただろう。

 普段の彼を見ている分には、そんなこと決して感じさせない。

 だから、こうして気持ちを打ち明けてくれたことが貴重だと思えるし、なにより私に話してくれたことが嬉しい。


「そんな大事な話を、打ち明けてくれてありがとうございます」


 それまで神妙な面持ちだった蓮斗さんだけど、気が抜けたようにふっと笑みを浮かべて見せる。

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