契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「女々しいところを見せたな」
「そんなことないです。私は、嬉しかったです」
「嬉しい……? 変なこと言うんだな、澪花は」
「そうですか? だって、誰にでもする話じゃきっとないと思うし、そんな話をしてもいいって、そう思ってもらえたのなら嬉しいじゃないですか」
立場としては、契約結婚の相手というだけだ。それでも、こうして打ち明けてもらえたことは距離が縮まったような気がしてならない。
「簡単には、埋まらないと思います。でも、これから一緒にいて、私が少しでも支えていけたらなって」
「澪花」
名前を口にされた次の瞬間には、抱き寄せられ腕の中に包まれていた。
蓮斗さんからいつも感じる爽やかで上品な甘い香りをすぐ間近で感じる。
「俺も、こんな話をしたのは澪花が初めてだ。気づいたら話してた」
「蓮人さん……」
「不思議だな。澪花には、いつの間にか心を許してた」
私の方からも蓮斗さんに腕を回し抱きしめる。
自然と取っていた行動は、ただただ感情に突き動かされて。
そばにいて支えたい。その想いと共に膨れ上がっていたのは、蓮斗さんのことが好きだという気持ちだった。
自分でも知らぬ間に募っていた想いは、彼と出会い、一緒に過ごした時間の中で少しずつ育っていったのだ。
気づかないように、無意識に誤魔化そうともしていたのかもしれない。
でももう、彼を、蓮斗さんを好きだと自覚し、認めてしまった。