契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


 素肌を這う唇に意識を取られているうち、ワンピースもスリップも体から離れていく。

 下着だけの姿になった自分の姿を隠すように、つい横に寝返りを打って体を丸めた私を、蓮斗さんはくすっと笑った。


「綺麗な澪花を隅々まで見せてもらおう」


 そんな恥ずかしいことを言いながら、蓮斗さんも自らスーツを脱いでいく。ネクタイを外し、シャツとアンダーシャツを取った美しい肉体に釘付けにされた。

 男性の裸なんて、これまで間近に見たことはない。

 それでも、目の前に迫った体が鍛えられ洗練されたものだというのは一目瞭然。余計な肉のない程よい筋肉が逞しい。

 視覚情報だけで心拍の暴走がますます加速する。

 素肌を重ね、時間をかけてキスを繰り返す。次第に濃厚に、舌の触れ合う水っぽい音に鼓膜が支配され、もっと深くを求めあう。

 キスで浮遊しているような感覚に陥った私を、蓮斗さんはじっくり隅々まで堪能していく。


「澪花……綺麗だ」


 時間をかけて緊張した体をゆっくりと解いていき、やがてふたりの体が密着する。

 初めてのことで、ちゃんと彼を受け入れられるのか不安もあったけれど、蓮斗さんは急かすことも焦ることもなかった。彼に余裕があるから、安心して身を任せられる。

 次第に恍惚とした世界におちていき、心地のいい蓮斗さんの温もりにいつまでも包まれていたくなる。

 私は蓮斗さんにとって契約妻でしかない。

 でも今は、この時間だけは、愛してもらっていると思い込んでもいいのかな……。ほんの少しだけでも、夢をみるように……。

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