契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
三月も始まったと思えばあっという間に中旬に差し掛かり、いよいよ春の訪れを感じられる日も出てきた。
今日はそれなりに寒いけれど、昨日なんかは気温が上がりニュースでは桜の開花も目前だと話していた。
「お帰りなさい。えっ、どうしたんですか、この荷物」
玄関に迎えに出ていって思わず声を上げてしまう。
蓮斗さんは両手に紙袋の荷物を持っていて、一緒にやって来た秘書の加賀さんも同様の状態。
慌てて受け取ろうとしたものの、蓮斗さんは「大丈夫」と言って中へ入っていく。加賀さんも「失礼いたします」と、蓮斗さんのあとに続いていった。そんなふたりの後を私がついていく。
リビングに入った蓮斗さんは、手に持つ紙袋をひとつずつダイニングテーブルの上に並べていく。
加賀さんも蓮斗さんに倣って手荷物をテーブルの上に並べた。
「では社長、私はこれて失礼します」
「ああ、助かった、ありがとう」
「明朝は、六時にお迎えに上がります」
「わかった。お疲れ様」
蓮斗さんに向かって「失礼します」と頭を下げた加賀さんは、私にも丁寧に頭を下げリビングを出ていく。
加賀さんが帰っていくと、蓮斗さんはおもむろに私を抱き寄せた。