契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「ただいま、澪花。会いたかった」
蓮斗さんはこうして、ストレートな言葉で私をどきりとさせてくる。
契約妻だということを忘れる一瞬がたびたび訪れる。
「おかえりなさい」
だから、そういう瞬間は私も自分が本物の妻だと錯覚を起こして彼に甘える。抱きしめてくれた体を両手で抱きしめ返した。
「これは、全部、澪花へ」
「え?」
腕を解いた蓮斗さんは、持ち帰ってきた大量の紙袋は私へだと言う。
「これって……」
「澪花がなにが好きか訊きそびれていたから、とりあえず、ケーキにマカロン、焼き菓子に、水菓子系もあって──」
蓮斗さんは紙袋から次々と中に入っている箱を取り出していく。どれも有名なパティスリーの名が入っていたり、一流ホテルのロゴが入っている。
「え、あ、あの、これ全部もしかしてお菓子ですか?」
「ああ、今日はホワイトデーだろ?」
三月十四日。そうだ、今日はホワイトデーだ。
「美味しいチョコレートプリンのお返しだ」
「お返しって……こんなにたくさん!」
「好きなものがあればいいが。澪花、おいで」
蓮斗さんに呼ばれ、横に並んで紙袋からお菓子の箱を取り出す作業を眺める。