契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
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引き留められた澪花は怯えたような目をして俺を見上げる。
怖がらせるつもりなんて微塵もなく、すぐに手を解いて彼女の小さな手を両手で包み込んだ。
「一緒に来てくれ」
数週間に及ぶ出張から帰国して、待ちに待った澪花との時間に心躍らせていたのも束の間、突然の婚姻関係解消の申し出。
正直、頭がついていかず、未だ混乱の中にいる。
一体なにが、彼女にそんな言葉を口にさせたのか。
ぽろぽろと涙を流し、声を絞り出すようなその様子は、どうしても澪花自身の意思ではないように見えた。
これは彼女の望みではない。そう確信を得た時には、母の存在しか頭に浮かばなかった。
「蓮斗さん……?」
待ち合わせのために近くに駐車しておいた車に澪花を連れていき、いつもと同じように助手席に乗せる。
ただ一緒に来てほしいと言われただけの彼女は、不安そうに表情を歪めて車に乗り込んだ。
半ば強引に乗車させられた澪花は、普段のようにシートベルトを締めることもせず、ただ膝の上で両手を組み俯いている。頬は涙で濡れたままだ。