契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「もう一度言う。契約結婚などという話は白紙にしてもらいたい」
「白紙……あの、それはどういう?」
「あれは、君との関係を繋ぎ止めるための口実にすぎない」
澪花の眉が困ったように下がる。
不安そうに握られた手を掴み取った。
「澪花、君を愛してる。これからは契約なんて関係なく、俺の妻になってほしい」
「え……? でも、私は」
「君を手放す気は一切ない。なにがあっても悲しい思いはさせないし、守ると決めた」
大きな瞳が、瞬きを忘れたまま涙をいっぱいに浮かべる。
それは決壊したようにぽろぽろと溢れ出し、まだ乾いていない色白の頬を濡らしていく。
「蓮斗さん、私、わた、し……」
どちらからともなく腕を伸ばし、引き寄せるように抱きしめ合う。
腕の中で澪花は壊れたように嗚咽を漏らした。
「ぅ、っ……私も、蓮斗さんが、好きです。本当は、離れたくない……」
「本当はって。離れる必要はないし、離さない」
「でも、それはできないから」
「母に会ったんだな? なにか言われたんだな?」
俺の質問に、澪花は『はい』と答えない。なにか口止めや、母に約束をさせられたのだろう。