契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
8、咲き乱れる薔薇の中で
黄色とオレンジのガーベラ、淡いピンクのミニ薔薇と、いっぱいのカスミソウの花束を手に、エレベーターで病院最上階を目指す。
蓮斗さんに連れられ彼の実家に訪れた日、目の前でお義母様が倒れた。
すぐに救急車が呼ばれ、ベリが丘総合病院に救急搬送された。
その時に初めて聞かされたことが、お義母様も私の母同様に心疾患を患っているということ。
手術によって完治するけれど、お義母様本人が手術を拒んでいて現状維持の経過観察だという。
倒れたのは、疲労と極度のショックで心臓に負担がかかったのだろうという診断だった。幸い、大きな病状の悪化はなく、検査を含めた念のための入院となった。
その日から一週間、毎日お義母様の元を訪れている。
私になにかできることはないかと、時間の許す限りそばにいるようにしているけれど、お義母様にとっては不愉快なのかもしれない。
それでも、蓮斗さんに添い遂げると決めた私は、お義母様に認めてもらわなくてはならない。
「失礼します」
広い特別室のベッドには、今日もお義母様が横になっている。
今日は少しベッドを上げ、本を読んでいるから体調は悪くないのかもしれない。