契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「自分の経験があったから、あなたが同じ思いをしないように、諦めたほうがいいと仕向けたの。それほど、苦労したのよ」
お腹の上で組んだ手に視線を落とし、お義母様は静かに目をつぶる。思い出しているのだろうか、しばらく目を閉じていた。
「でも、蓮斗には絶縁してもらってもいいなんて言われるし……私は間違ってたのかしらね」
「お義母様……」
「あなたたちを引き離して、蓮斗を相応しい女性と一緒にさせるのは難しいことではないわ。でも、それで誰が幸せになるのかって……」
お義母様はお義母様で葛藤していたことを知り、胸がぐっと苦しくなる。
ただただ、橘のことだけを考えて反対していたのではなかったのだ。
告白してくれた気持ちに、なにか言葉を返したい。その思いだけで「お義母様」と呼びかけていた。
「ありがとうございます。お義母様が、反対された意味を知ることができて、私……」
逸る気持ちのまま口を開いてしまったため、上手く言葉がまとまらない。
お義母様の目が私を捕らえ、じっと顔を見つめる。
でも、伝えたい想いはひとつだけ。
お義母様の目から視線を逸らさず、真っ直ぐ見つめたまま再び口を開いた。
「もちろん、立場が違いすぎて辛いこともあると思います。でも、私は蓮斗さんを支えたい。人を愛する喜びを教えてくれたのは、彼だから。生涯、寄り添っていきたいと心から思ってます」