契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「澪花。今ここで、改めて君にプロポーズしたい」
「え……?」
「契約なんて関係のない、本物の夫婦に。俺の、妻になってほしい」
真摯で誠実な瞳の中には、目を見開いた私の顔が映っている。
言葉を発さない私に、蓮斗さんが弱ったように眉を下げた。
「もしかして、また『検討します』と言われてしまう?」
「そっ、そんなわけないです!」
突然の正式なプロポーズに、いろいろな感情が大渋滞している。
返事を頭の中で選びながら、繋がれた手をきゅっと握り返した。
「私を、本物の妻にしてくれるんですか……?」
蓮斗さんが、ふっと表情を緩める。そして、正面から私を抱き寄せた。
「してくれるんですかって、お願いしているのは俺の方だけど? 俺の妻は、澪花しかいない」
耳元で囁くように、でもはっきりと聞こえる蓮斗さんの声。
心から幸福で満たされていくのを感じ、自然と両手を彼の背中に回す。涙腺が緩んで、視界がゆらゆらと揺れて見えた。
「ずっと、そばにいます。蓮斗さんの妻として」
「澪花……涙はいらないだろう」
私が泣き始めたのをすぐに察知した蓮斗さんは、顔を覗き込んでくる。
「これは、感激の涙だからいいんです」
笑い合ったふたりの顔がゆっくりと近づく。
優しい口づけを交わした私たちを、咲き乱れる薔薇たちが祝福してくれているようだった。