契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
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厳しかった残暑もやっとやわらいできた十月中旬。
今日は昼過ぎで仕事を納め、澪花の待つ自宅に直帰する。
おおよその帰宅時刻を知らせておいたからか、マンションに帰ると澪花はキッチンに立ち紅茶を淹れていた。
「おかえりなさい」
帰ってきてこの笑顔に迎えられるとホッとするし、ビジネスで張り詰めていた気持ちから解放される。
自分の帰るべき場所であり、帰りたい場所。人生でやっと心から安らげる場所を手に入れた。
「ただいま」
一番に澪花を腕に閉じ込め抱きしめる。
澪花の方からもぎゅっと抱きしめ返してくれた。
「早く帰れてよかったですね」
「ああ、そのために調整しておいてよかった。明日は大事な一日だからな。体力温存しておきたいだろ」
澪花はくすくすと笑って「そうですね」と言う。
「紅茶が入るので、一緒に飲みましょう」
「ありがとう。着替えてくる」