契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


* * *


 厳しかった残暑もやっとやわらいできた十月中旬。

 今日は昼過ぎで仕事を納め、澪花の待つ自宅に直帰する。

 おおよその帰宅時刻を知らせておいたからか、マンションに帰ると澪花はキッチンに立ち紅茶を淹れていた。


「おかえりなさい」


 帰ってきてこの笑顔に迎えられるとホッとするし、ビジネスで張り詰めていた気持ちから解放される。

 自分の帰るべき場所であり、帰りたい場所。人生でやっと心から安らげる場所を手に入れた。


「ただいま」


 一番に澪花を腕に閉じ込め抱きしめる。

 澪花の方からもぎゅっと抱きしめ返してくれた。


「早く帰れてよかったですね」

「ああ、そのために調整しておいてよかった。明日は大事な一日だからな。体力温存しておきたいだろ」


 澪花はくすくすと笑って「そうですね」と言う。


「紅茶が入るので、一緒に飲みましょう」

「ありがとう。着替えてくる」

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